今回、無事に完成を迎えて、お届けできた大きなカップボードです。
メールにてお問合せいただきまして、たくさんの打合せにお付き合いいただきました◎
木の素材は「楢の木」で、扉には「藤」の四つ目編み、取手には美しい「真鍮」のつまみと、それぞれが経年で美化していく素材を使用しています。
サイズは「W2500 D461 H850」で、壁にピッタリと収まるように、設計されています。
「少し和の雰囲気を加えたい」と「藤の扉を使いたい。」というご希望を踏まえて、デザイン構成を進めていくことに◎
「和の雰囲気」と聞いて、妻が真っ先に「木の種類や、色、表面的なデザインも大切だけど、直線と陰影を使って"趣"で和を表現したいな。」と口にしたのを覚えています。
扉や抽斗、巾木も統一された数値で収納本体から少しセットバックさせていて、閉まった状態で生まれる陰影がとてもいい雰囲気を醸し出してくれます。
抽斗の取手には、直線的で"茶箱"のような雰囲気も併せ持つ「木の彫り込み取手」を。
U字の溝が彫ってあり、指をかけて腕で引くことができるので、重いお皿などをたくさん収納されても、ストレスなく楽に引き出すことができます。
抽斗の中は、今回もハーフェレのスライドレールを使用しています。
桐抽斗や無垢の抽斗も考えましたが、「なんのための家具であるのか?」という目的をじっくり考えると、ここを「無垢にこだわる」のには疑問が残りました。
ここで大切にしたいのは、「いつでも、お父さんお母さんがさっと動けて、家族に目を向けることができるように」。
カップボードの抽斗は、「家族の時間が主役」になるように「メンテナンス、使い勝手」を優先に考えています。
そして、お子様が自分で閉めても"ダンパー"が付いていて静かに閉まるので、それもまた安心です。
中央の木の扉のところにはゴミ箱を隠して収納する予定です。
「KEYUKAのゴミ箱」を使用するということで、実際に収納して撮影してみました。
扉収納や抽斗収納のスペースには「無垢」を使用していますが、ゴミ箱を収納するスペースの周りには、汚れを拭き取りやすいように「ポリ板」を使っているのも、お客様と相談して、決めた仕様のひとつです◎
さらに、ゴミ箱の上にも棚が一枚付いていて、ゴミ袋などを収納しておくことができるようにしています。
「藤の扉を使いたいです。」というご希望を形にできた可動棚スペース。
藤の扉の中は、棚の高さを調整して「道具の高さ」に合わせて収納することができるようになっています。
「普段どのような道具を使いますか?」とお聞きした際に、教えてくださった道具たちの数々に「大切に集めて使ってきて、これからも家族との思い出を共にしていくのだろうな。」と感じていたのを思い出しました。
それぞれの道具に合わせた収納方法、収納サイズを決めていくので、「大体入る。」ではなく、「ちゃんと入る。」ようになっています◎
自分たちが愛用している道具の大きさは「感覚」でちゃんと覚えているもので、買い替えが必要になったときでも、同じもの、似たようなものを探すのではないでしょうか◎
今回は、さりげなく床まで伸ばした"帆立板"が、地板と十字に交わることで"格子"のようなデザインになっているところも 「もしかしたらここでも「和の趣」を表現できるかも」と最後に決めたディテールのひとつで、「効果があって嬉しい!」と妻もつぶやいていました。
打合せ中に出てくる仕様変更や、ご希望が変わった時に「優柔不断ですみません。」とおっしゃる時がございました。
「迷う」「変える」と決めるもの大きな決断の一つなので、決して優柔不断ではないと、心から私たちは思っています◎
そのひとつひとつの決断が、ひとつの家具を生み出すことができる力となっていて、いいなぁと思えるデザイン、家具になったのは、「ご依頼主の芯」のおかげです。
(初期の打合せスケッチのひとつ。抽斗をメインに、シェルフに藤の扉をとお話ししていました。)
そして、僕たちは「決めに行く!」という「ご決断営業スタイル」を好まず、「ご提案」というスタイルを尊重したいという気持ちがあるので、ご提案が伝わりにくく、逆に迷わせてしまいお時間をいただく場合もあると思います。。。
(ご依頼主が、自分たちで「家具をオーダーした!」という楽しくワクワクした気持ちを持っていただけたらと思っているからです◎)
直接お会いできない中で、そんな私たちにお付き合いいただき、こうして信じてご依頼くださり、また完成まであたたかく見守っていただき、本当に感謝の気持ちでいっぱいでございます。
このご時世で、こちらからのアプローチやお互いの距離感が悩ましい中、設置の際に長男くんが色々と興味を持ってくれて、とても仲良くしてくれて嬉しかったです。
もっとゆっくりと、そしてマスクを外してたくさんお話できる日を、楽しみにさせて頂きます◎
メンテナンスも含めまして、今後ともどうぞよろしくお願いいたします:)
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