朝、工房の少しひんやりした空気に、ホットコーヒーが合う季節になってきました。
今回、製作させていただいたのは"ベンチ"です。
デザインはスツールと統一感のある雰囲気で、妻が担当してくれました。
厚みのある板を使用しているのですが、丸みを持たせることで、見た目は少し軽く、やさしくなっています。
まだわかりやすい写真が撮影できていないのですが、実は座面は3枚に分かれていて、それぞれ等間隔でクリアランスを設けており、"板"という重厚感を軽減して、軽やかさがでています。
木の座面のベンチは、昔から少し苦手な部分がありました。
理由は"重い"から。
ベンチそのものを移動するのも大変で、出入りするにも移動してもらってから・・・などなどデメリットがメリットを上回っていることが多かったように思います。
しかし、娘が木のベンチにつかまったときに、木のベンチの良さがハッと浮かび上がってきたのです。
まず、"重い"と"動かない"。
つかまって力がかかっても、安定して動かず、安心して見ていられるということ。
そして、重いので、動かさない。つまり動かす必要のない場所に置くことによって、よりそのメリットが発揮されるということ。
そして、動かす必要がないので、"座る位置"は自分で決めるということ。
浅く座る、深く座る、真ん中に座る、端に座る。
重いベンチを動かすのではなく、そのままにして自分が動いて座る位置を決めることで、目的にあった姿勢をつくることができるというメリットがあることもわかりました。
でもやはり、これらのメリットは"置く場所"がとても大切になってくると思いますので、オススメする際はしっかりと間取りや用途をお聞きしてからかな、と思っています。
今回、ベンチを製作させていただくことによって、本当に大きな気づきをいただくことができました。
インテリアの世界に飛び込んで10年以上経ちますが、もっともっと固定観念を崩して、頭を柔らかく、そして
やはり楽しんで行きたいと思いました。