少し湿気を帯びた空気に梅雨の気配を感じるようになってきました。
今回は、以前テーブルと椅子を製作させていただいたお客様に、座卓の製作をご依頼いただきました。
ただの座卓ではなく、カーボンヒーターがついた"こたつ"です。
木のフレームと、木の天板に"こたつ"となると、様々な工夫が必要になってきます。
ゴツゴツに分厚くして影響が出ないようにするのは簡単なのですが、普段使いではスッキリとした使い勝手の良い道具にしたいので、色々と悩みました。
一番に大事にしたのは、いつも通りシンプルなことですが"木取り"です。
熱や乾燥で木が動いた時に、どの方向に動くかを考えて、それを調整する方法を用意しておくということ。
あとは使い勝手とデザインです。
横になった時でも幕板が体に当たらないようにする必要があり、脚の固定方法やフレームの太さを微調整。
余計なフレームが見えにくいように、テーパーをつけてそれをデザインに取り込みます。
冬以外の季節は天板がずれないように、フレームに固定できるように。
細かい調整や工夫が必要だった今回の製作ですが、やはりオーダーの良いところを発揮できたと思います。
ご家族がよく取る姿勢だったり、そこに滞在する時間、頻度、またはご家族の構成によってお子さんやお孫さんの方が使われる頻度が高くなることもあると思います。
打ち合わせの際に、そのようなことをお聞きすることができて、"それならはこうしよう、ああしよう!"と修正することができます。
せっかくのオーダー家具なので、そんな時間をしっかりと活かしてもらえることがとても嬉しいです。
木の家具も生き物です。
人と一緒で、今の姿をずっとキープすることはまずありません。
(でも、ずっと使っていただけるようにできる限りの工夫をしています。)
自分たちの時間とともに色や形を変え、人がストレッチをするように、木も背伸びをしたりします。
変化があるから面白く、愛着が湧く木の道具。
そんな大切なことを改めて感じさせてくれる時間となりました。
日々の生活の風景に、ゆっくりと馴染み、変化の時間を共に楽しんでいただけたらと思います。