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"dresser 900"


ドレッサーという家具を、はじめて製作させていただきました。

"支度を整えるため"という特別な用途を持つ家具で、どのような収納スペースが必要になり、実際どのようなものが収納されて、どのように使われるのか・・・僕にはなかなか想像が及ばない部分があります。

ここはやはり女性である妻の出番。

様々な視点からアドバイスをもらって、図面に落とし込み、製作に取り掛かっていたのですが、他の家具にはない独特な"手数の多さ"を体感することとなりました。

形もそうですが、他の家具よりも細かい調整や意匠が多く、繊細な作業が続いたので、ドレッサーという家具が女性にとって特別なものであり、習慣に寄り添うとても大切な道具であることが伝わってきました。

そんなことを感じながら、ご結婚を機に新しい生活をスタートされる娘さんに、何度も"ドレッサーはいらないの?"と親さまが尋ねたことから、今回のご依頼に至ったというエピソードを思い出していました。

新婚生活で楽しいことも辛いことも、様々なことが起きるだろうけれど、ふとドレッサーの前に座って鏡で自分の顔を見て気持ちを落ち着かせたり、弾ませたり、引き締めたり、そんな"自分の場所になる"ということを言いたいのかもしれないと勝手に想像して、なんだか感動していました。

時代や生活スタイルの移り変わりによって、道具は変化していきます。

形だけではなく、その必要性も変わってきます。

最近は大工工事で"女性のためのパーソナルスペース"を作ることが多くなりましたが、"自分しか使えない道具"、"自分だけの道具"というのはまた思い入れが別格な感じがします。

家族が目覚める前にお化粧をしてご飯を準備して迎えたり、家族みんなを見送ってから、ホッと一息ついてドレッサーに向かったり、仕事から帰ってきてお化粧を落としたりアクセサリーを外したりしながら、一日を振り返ったり、様々な習慣があると思います。

スピード社会に対して、ドレッサーという家具は自分と向き合い、心を引き締めたり、時には整えたりと、自分を大切にするための、とても大事な道具なのかもしれないと感じました。

ちょっと大袈裟かもしれません!

でも、女性が元気だと、シンプルに嬉しいものです:)

そして、家の中も明るくなります:)

我が家には同居している95才のおばあちゃんがいます。

歩いたりする際は杖を使って移動しますが、毎朝ドレッサーの前でしっかり椅子に座ってお化粧をされています。

そんな風に、ずっと末長く寄り添ってもらえる家具を創りたいと思いました。


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